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インターネットで公開している、泣ける話、感動する話をまとめています。号泣できる話から、ほっこりと心温まる話をいろいろ集めてますので、楽しんでください。
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2012/02/25
[泣ける話]
恋とは一種の病気である。
それはとても苦しくてせつなくて、、、、
でも世界で一番美しい病だ。
ただしそいつはいつも、まったく何の予兆もなくいきなりやってくる。そうやって恋に落ちるたびに、僕はいつもボロボロになってしまう。
ぼくは女性誌が 「おしゃれな恋がしたい」 だの、またそれと似たような男性誌が「 今年の夏こそホントの恋がしたい」 だの書いてあるものを目にするだけで
喉元までゲロがこみあげてくる。
「わかっている女」 や、いまどきの 「 モテル男 」 になりたければなればよい。おしゃれな恋 がしたければ雑誌の「ここいちばんのいい女、の演出法」なんぞを駆使して勝手にすればよい。飽きがきたら「傷つかないためのセリフ100選」を使えばよいだろう。
ぼくは4年前、天上的な恋をしていた。
それは決して許されず、そして叶うはずのないものであった。
恋というものは異様なまでに人を高みにおしあげる。
それはとても苦しくてせつなくて、、、
そしてこの世でいちばん美しくステキな病気だ。
いまだからいえるが、ぼくは恋愛なんてものは2度とごめんだ。ただし、恋愛というものはするものではなくかかるものであるのでこればっかりはどうしようも出来ない。どうしても止めることができないのだ。
らも氏のエッセイから
posted at 2012/03/14 16:34:11
lastupdate at 2012/03/14 16:34:11
【修正】
2012/02/21
[泣ける話]
音楽家チャップリン
映画界で成功を収める前、チャップリンがチェロやバイオリストを目指していたということは、あまり知られていない。
毎日6時間にも及ぶほどの練習を積み重ね、結果名手とはなれず、音楽への道を断念する。しかし、それが映画を作るという才能が開花させる第一歩となった。
彼の音楽家としての才能は映画の中で開花する。どのチャップリンの映画にも、彼の作った音楽がメランコリックに生き生きと奏でられている。チャップリンはこう語る。
「僕はエレガントでロマンティックな曲を作ろうとしたのです。僕のコメディに、僕の演じる放浪者のキャラクターとは対照的な雰囲気を与えたかったのです。
音楽は、優雅さと魅力との対比であるべきで、感情を表現しなければならない。さらには、感情表現のない作品は不完全なものでしかないのです。
ミュージシャンたちは僕を前に専門用語で大討論会を始めようとしたのですが、僕は音楽の素人のように彼をさえぎってこういってやったものです。音楽をそんな言葉で表現しようとしても、それは無駄なことですよ・・・・・」
ライムライトあらすじ(ねたばれ)
かつてのスター喜劇役者のカルベロ。
いまでは年老いて、誰も見向きもしなくなってしまった。
彼はいつものように酔ってアパートに帰ってきたところ、下の階に住む女性がガス自殺を図っていた。
その女性テリーは、バレリーナだったが原因不明の病により
脚が動かなくなり、働くことも出来ず、家賃も滞納、絶望の末、
自殺を図ったのだった。
見かねたカルベロは、彼女のために大切なバイオリンを質に入れたり、安いギャラでの舞台に立って、彼女を助けようとした。
そして「人生は素晴らしいんだ。大切なのは勇気と想像力なんだよ」
と一生懸命彼女を励ました。
しかし、一方でカルベロ自身も昔ほどの喝采を得られず、絶望の淵にたっていた。芸人としての寿命を感じて嘆くカルベロをこんどはテリーが逆に励ました。
その時、テリーは脚が治って歩けることに気づき二人は喜び合う。
舞台に復帰したテリーはカルベロに愛を告白する。だが、テリーがかつて想いを寄せていた作曲家に、愛を告白されていることを知ったカルベロは、1通の手紙を残して失踪する。
そして月日がたちバレリーナとして成功したテリー。やっとカルベロを探し当て、今でも愛していると告げ、彼のために記念公演を計画する。
カルベロ記念公演の当日、場内は満員の観客。
・・・でもそれはテリーが用意したお客だった。
カルベロの数々の熱演で場内は、拍手大喝采、アンコールの渦。
が、アンコールで舞台からカルベロは転落。
彼は、心臓が弱ってもう絶望的な状態だった。
瀕死のカルベロは、テリーのバレエ姿をそばで見たいとテリーが踊っている舞台のそでにベッドを運んでもらう。
そしてカルベロは静かに目を閉じる。
それを知らず、カルベロのために舞台でテリーは踊りつづける・・・
映画界で成功を収める前、チャップリンがチェロやバイオリストを目指していたということは、あまり知られていない。
毎日6時間にも及ぶほどの練習を積み重ね、結果名手とはなれず、音楽への道を断念する。しかし、それが映画を作るという才能が開花させる第一歩となった。
彼の音楽家としての才能は映画の中で開花する。どのチャップリンの映画にも、彼の作った音楽がメランコリックに生き生きと奏でられている。チャップリンはこう語る。
「僕はエレガントでロマンティックな曲を作ろうとしたのです。僕のコメディに、僕の演じる放浪者のキャラクターとは対照的な雰囲気を与えたかったのです。
音楽は、優雅さと魅力との対比であるべきで、感情を表現しなければならない。さらには、感情表現のない作品は不完全なものでしかないのです。
ミュージシャンたちは僕を前に専門用語で大討論会を始めようとしたのですが、僕は音楽の素人のように彼をさえぎってこういってやったものです。音楽をそんな言葉で表現しようとしても、それは無駄なことですよ・・・・・」
ライムライトあらすじ(ねたばれ)
かつてのスター喜劇役者のカルベロ。
いまでは年老いて、誰も見向きもしなくなってしまった。
彼はいつものように酔ってアパートに帰ってきたところ、下の階に住む女性がガス自殺を図っていた。
その女性テリーは、バレリーナだったが原因不明の病により
脚が動かなくなり、働くことも出来ず、家賃も滞納、絶望の末、
自殺を図ったのだった。
見かねたカルベロは、彼女のために大切なバイオリンを質に入れたり、安いギャラでの舞台に立って、彼女を助けようとした。
そして「人生は素晴らしいんだ。大切なのは勇気と想像力なんだよ」
と一生懸命彼女を励ました。
しかし、一方でカルベロ自身も昔ほどの喝采を得られず、絶望の淵にたっていた。芸人としての寿命を感じて嘆くカルベロをこんどはテリーが逆に励ました。
その時、テリーは脚が治って歩けることに気づき二人は喜び合う。
舞台に復帰したテリーはカルベロに愛を告白する。だが、テリーがかつて想いを寄せていた作曲家に、愛を告白されていることを知ったカルベロは、1通の手紙を残して失踪する。
そして月日がたちバレリーナとして成功したテリー。やっとカルベロを探し当て、今でも愛していると告げ、彼のために記念公演を計画する。
カルベロ記念公演の当日、場内は満員の観客。
・・・でもそれはテリーが用意したお客だった。
カルベロの数々の熱演で場内は、拍手大喝采、アンコールの渦。
が、アンコールで舞台からカルベロは転落。
彼は、心臓が弱ってもう絶望的な状態だった。
瀕死のカルベロは、テリーのバレエ姿をそばで見たいとテリーが踊っている舞台のそでにベッドを運んでもらう。
そしてカルベロは静かに目を閉じる。
それを知らず、カルベロのために舞台でテリーは踊りつづける・・・
posted at 2012/03/14 21:39:04
lastupdate at 2012/03/14 23:10:26
【修正】
2012/02/20
[泣ける話]
ジェリーが大人になった頃トムはもうこの世にいませんでした.
トムは自分の命の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき,
こっそりジェリーの前から姿を消しました.
ジェリーの前で弱って涙もろくなった自分を見せたくなかったのです.
トムはジェリーの心の中ではずっと喧嘩相手として生きつづけたかったのです.
トムがいなくなったのに気づいたときジェリーは悲しみはしませんでしたが,
退屈になるなと思いました.
トムとの喧嘩は最高にスリルのあるゲームでしたから.
胸の奥が不思議にチクチクはするのですが,それが何なのか,
ジェリーにはよくはわかりませんでした.
トムの願い通り,ジェリーの心の中でトムはいつまでも仲の悪い喧嘩相手でした.
そんなある日ジェリーの前に一匹の猫が現れました.
トムよりのろまで体も小さい猫です.
喧嘩相手のトムがいなくなって寂しかったジェリーは,今度はこの猫を
喧嘩相手にしようと考えました.
そこでジェリーは,穴のあいた三角チーズが仕掛けられたねずみ取りを
利用して,その猫に罠をかけることにしました.
いつもトムにしていたように.
ジェリーは物陰に隠れて,ねずみを求めて猫がねずみ取りの近くに来るのを待っていました.
そして思惑通り猫が罠に向かって近づいてきます.
ジェリーはしめしめと思いました.
いつものように,自分がねずみ取りにひっかかるふりをして,逆に猫をねずみ取りにかけてやるんだ.うふふ.
手か尻尾を挟んだ猫の飛び上がる姿が頭に浮かび愉快です.
でも,その猫はトムではありません.
猫はチーズの近くまで来たとき,ジェリーが出てくるより早く美味しそうなねずみの匂いに気づき,
目にもとまらぬ速さで隠れていたジェリーに襲いかかってきました.
ジェリーはいつもトムから逃げていたように逃げましたが,
トムよりのろまなはずの猫にすぐに追いつかれてしまい,体をガブリと噛まれました.
ジェリーも噛みつき返しましたが,トムより体が小さいはずの猫は平気です.
血まみれのジェリーは薄れ行く意識の中で,本当は鼠が猫と喧嘩して勝てるわけがないことと,
いつもトムはジェリーに「してやられた」ふりをして,
わざとジェリーを捕まえないでいたことを,そのとき始めて知ったのです.
トムの大きな優しさと友情に気づいたのです.
そしてトムがいなくなった時の胸の奥のチクチクの正体にも気づきました.
かけがえのない友を無くした悲しみでした.
ジェリーの魂が体を抜けた時,空の上には優しく微笑みジェリーを待っているトムがいました.
「また喧嘩ができるね」
「のぞむところさ,今度こそは捕まえてやるぞ」
トムは自分の命の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき,
こっそりジェリーの前から姿を消しました.
ジェリーの前で弱って涙もろくなった自分を見せたくなかったのです.
トムはジェリーの心の中ではずっと喧嘩相手として生きつづけたかったのです.
トムがいなくなったのに気づいたときジェリーは悲しみはしませんでしたが,
退屈になるなと思いました.
トムとの喧嘩は最高にスリルのあるゲームでしたから.
胸の奥が不思議にチクチクはするのですが,それが何なのか,
ジェリーにはよくはわかりませんでした.
トムの願い通り,ジェリーの心の中でトムはいつまでも仲の悪い喧嘩相手でした.
そんなある日ジェリーの前に一匹の猫が現れました.
トムよりのろまで体も小さい猫です.
喧嘩相手のトムがいなくなって寂しかったジェリーは,今度はこの猫を
喧嘩相手にしようと考えました.
そこでジェリーは,穴のあいた三角チーズが仕掛けられたねずみ取りを
利用して,その猫に罠をかけることにしました.
いつもトムにしていたように.
ジェリーは物陰に隠れて,ねずみを求めて猫がねずみ取りの近くに来るのを待っていました.
そして思惑通り猫が罠に向かって近づいてきます.
ジェリーはしめしめと思いました.
いつものように,自分がねずみ取りにひっかかるふりをして,逆に猫をねずみ取りにかけてやるんだ.うふふ.
手か尻尾を挟んだ猫の飛び上がる姿が頭に浮かび愉快です.
でも,その猫はトムではありません.
猫はチーズの近くまで来たとき,ジェリーが出てくるより早く美味しそうなねずみの匂いに気づき,
目にもとまらぬ速さで隠れていたジェリーに襲いかかってきました.
ジェリーはいつもトムから逃げていたように逃げましたが,
トムよりのろまなはずの猫にすぐに追いつかれてしまい,体をガブリと噛まれました.
ジェリーも噛みつき返しましたが,トムより体が小さいはずの猫は平気です.
血まみれのジェリーは薄れ行く意識の中で,本当は鼠が猫と喧嘩して勝てるわけがないことと,
いつもトムはジェリーに「してやられた」ふりをして,
わざとジェリーを捕まえないでいたことを,そのとき始めて知ったのです.
トムの大きな優しさと友情に気づいたのです.
そしてトムがいなくなった時の胸の奥のチクチクの正体にも気づきました.
かけがえのない友を無くした悲しみでした.
ジェリーの魂が体を抜けた時,空の上には優しく微笑みジェリーを待っているトムがいました.
「また喧嘩ができるね」
「のぞむところさ,今度こそは捕まえてやるぞ」
posted at 2012/03/20 19:17:11
lastupdate at 2012/03/20 19:17:11
【修正】
2012/02/19
[泣ける話]
事情があって生活保護を受けている母子家庭の知人の子供が
夏休みに法事で東京へ来た。
「おじさんがディズニーランドへ連れてってあげるよ」と言うと
頑なに固辞するので、子供のくせに遠慮するなあと思って理由を訊いたら
「だって高いから」とだけ言うと、その子は下を向いてしまった。
「じゃあおじさんと、明日どこかドライブへ行こう」と次の早朝連れ出した。
首都高から湾岸線、浦安で降りるとTDLの看板があり、その子は
まだきょとんとしていたが、駐車場へ入るあの角を曲がったときの
その子の驚きと感動の歓声が忘れられない
持ちきれないくらいのおみやげを買ってやり、
5万くらい使ったが、馬にぶち込むよりはいい使い方だと思った。
posted at 2012/03/14 20:21:31
lastupdate at 2012/03/14 23:11:05
【修正】
2012/02/14
[泣ける話]
私大に入るために二浪していた頃、スガは人生最大の衝撃を受け、打ちのめされる。彼は生まれて初めて、何もかも捨てていいと思うほど真剣な恋をした。ところが相手は二股をかけていて、本命の恋人がいることを隠しながら、スガを引っ張るだけ引っ張って残酷なフリ方をした。
「オレを傷つけて自分が悪人になりたくないから、ズルズルと酸素を抜いていって、まるで蛇の生殺しのみたいでさ。
天使みたいな顔しているくせに、錆びた切れないナイフで心臓をずぶずぶ切られていくみたいで、『そのナイフ、切れないからやめてくれ。いっそ、切れるのでズバッとやってくれ』って叫びたかったよ。
それ以来、女が信用できなくなって、女性観が変わった。またフラれても傷つかないように、感情にバリアを張るようになったよね。
あのときから10年がたって、今の自分からその頃の自分を見たのが、この『夜空ノムコウ』なんだよね。10年の人生の総括っていう。
4年前、武道館で歌ったときのMCは最高傑作だった。
『みんな大ヒットで儲かったから奢ってとかいうけど、これは今まで俺をフッてきた女たちからの慰謝料だと思っている。これくらいで終わると思うなよ。まだまだ慰謝料とるから』って(笑い)」
意外なことに『夜空ノムコウ』の歌詞は恋人たちのラブラブの風景ではなく、生涯で初めて本気になった相手から“錆びたナイフで心臓を切りつけられた”痛みからの回復の歩みだったのだ。
「オレを傷つけて自分が悪人になりたくないから、ズルズルと酸素を抜いていって、まるで蛇の生殺しのみたいでさ。
天使みたいな顔しているくせに、錆びた切れないナイフで心臓をずぶずぶ切られていくみたいで、『そのナイフ、切れないからやめてくれ。いっそ、切れるのでズバッとやってくれ』って叫びたかったよ。
それ以来、女が信用できなくなって、女性観が変わった。またフラれても傷つかないように、感情にバリアを張るようになったよね。
あのときから10年がたって、今の自分からその頃の自分を見たのが、この『夜空ノムコウ』なんだよね。10年の人生の総括っていう。
4年前、武道館で歌ったときのMCは最高傑作だった。
『みんな大ヒットで儲かったから奢ってとかいうけど、これは今まで俺をフッてきた女たちからの慰謝料だと思っている。これくらいで終わると思うなよ。まだまだ慰謝料とるから』って(笑い)」
意外なことに『夜空ノムコウ』の歌詞は恋人たちのラブラブの風景ではなく、生涯で初めて本気になった相手から“錆びたナイフで心臓を切りつけられた”痛みからの回復の歩みだったのだ。
posted at 2012/03/14 22:30:12
lastupdate at 2012/03/14 22:30:12
【修正】
2012/02/10
[泣ける話]
772 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:01:01
いとこ(27歳男)が、大腸がんで死んだ。
その彼女は、従兄弟ががんと分かってから、仕事もあったのに
毎日病室に訪れ付き添った。結婚の約束もしていたんじゃないかな。
食べ物を、「お口アーン」とか、やり合ってじゃれてたり、
がんが侵食して痛む従兄弟の腰や背中を、彼女がさすってあげたり。
そのころ、10代のガキだったせいもあるけど、従兄弟が死ぬなんて
まったく想像つかなかった。「きっとこの2人はあと数年もしたら結婚
して、幸せな家庭築くんだろーな」なんて、見舞いにいくたび
幸せな想像しかできなかった。普通にうらやましかった。
773 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:03:08
しかし、従兄弟の病状はどんどん進んでいった。みるみるやせて、
目ばかりぎょろぎょろになって、身内のわたしでも正視できなかった。
はやく終わってほしかった。人の命のもろさが怖かった。
でも彼女はずっとそばにいた。従兄弟のやせ細った手を握って、
抗がん剤の影響で、ぼろぼろに禿げたあたまにかぶる毛糸の帽子を
作ったり。わたしは、怖くて怖くて病室にも入るのもいやで
病室に入っても、 彼女の後姿ばかり見ていた気がする。
従兄弟は、癌がよくなったらどこかへいこうとか、あれ食べに行こうとか
今度の携帯の最新機種を買いたいとか、来ない日のことばかりしゃべった。
774 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:05:53
彼女は笑顔で、「絶対いこーね」「わたしあれ食べたい」とか、いってた。
気休めだろって思ったけど、彼女の目は本気だった。
今、思い返せば、彼女はほかにどうすることもできなかったんだと思った。
彼女も怖かったのに、好きな人を失うことが、
きっと自分が死ぬ以上に恐ろしかったと思う。
775 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:31:56
年末に、癌が全身にまわり、肺に転移。
従兄弟は最初の意識不明に陥った。
医師は、「癌を抑える薬がある。しかし、一時的に抑える効果しかない。
苦しみがのびるだけ。私の子供が患者だったらこのまま死なせる」ときっぱり。
両親は、「せめて27歳の誕生日を迎えさせたい」と延命を望んだ。
横で、彼女はだまって、ふるえていた。
薬は効いて従兄弟は劇的に回復した。
彼女と温泉にいったり、近場に旅行いったり、
新薬は2人に時間をくれた。
「癌が治った」とはしゃいでいたけど、一時的だというのは
本人が何よりも知っていたと思う。
最後のときをすごす2人に、両親も親戚もなにもいわず見守った。
776 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:37:29
春、従兄弟が3度目の意識不明に陥った。
あまりの痛みに子供のように泣き叫ぶ従兄弟を、彼女と従兄弟の母親が
押さえつけ、抱きしめた。「ここにいるよ。ひとりじゃないよ」
彼女は、死の激痛にあえぐ従兄弟の顔にキスして、手足をさすった。
医師が死亡宣告し、遺体が自宅に搬送されるまで、
彼女は従兄弟を抱いた。
何かにとりつかれたように嗚咽する彼女をみて
「人を愛する」ってこういうことかと思った。
777 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:40:02
彼女は、親戚の手前、通夜、葬式にも出られなかった。
毎年、従兄弟の墓参りには来ていた。
従兄弟が死んで数ヶ月あと、勤めていた会社をやめたことを聞いた。
数年たって、墓参りにもこなくなった。
最近、彼女が結婚し、1児の母になったことを聞いた。
寂しく思った反面、ほっとした。幸せになってほしいと思う。
いとこ(27歳男)が、大腸がんで死んだ。
その彼女は、従兄弟ががんと分かってから、仕事もあったのに
毎日病室に訪れ付き添った。結婚の約束もしていたんじゃないかな。
食べ物を、「お口アーン」とか、やり合ってじゃれてたり、
がんが侵食して痛む従兄弟の腰や背中を、彼女がさすってあげたり。
そのころ、10代のガキだったせいもあるけど、従兄弟が死ぬなんて
まったく想像つかなかった。「きっとこの2人はあと数年もしたら結婚
して、幸せな家庭築くんだろーな」なんて、見舞いにいくたび
幸せな想像しかできなかった。普通にうらやましかった。
773 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:03:08
しかし、従兄弟の病状はどんどん進んでいった。みるみるやせて、
目ばかりぎょろぎょろになって、身内のわたしでも正視できなかった。
はやく終わってほしかった。人の命のもろさが怖かった。
でも彼女はずっとそばにいた。従兄弟のやせ細った手を握って、
抗がん剤の影響で、ぼろぼろに禿げたあたまにかぶる毛糸の帽子を
作ったり。わたしは、怖くて怖くて病室にも入るのもいやで
病室に入っても、 彼女の後姿ばかり見ていた気がする。
従兄弟は、癌がよくなったらどこかへいこうとか、あれ食べに行こうとか
今度の携帯の最新機種を買いたいとか、来ない日のことばかりしゃべった。
774 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:05:53
彼女は笑顔で、「絶対いこーね」「わたしあれ食べたい」とか、いってた。
気休めだろって思ったけど、彼女の目は本気だった。
今、思い返せば、彼女はほかにどうすることもできなかったんだと思った。
彼女も怖かったのに、好きな人を失うことが、
きっと自分が死ぬ以上に恐ろしかったと思う。
775 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:31:56
年末に、癌が全身にまわり、肺に転移。
従兄弟は最初の意識不明に陥った。
医師は、「癌を抑える薬がある。しかし、一時的に抑える効果しかない。
苦しみがのびるだけ。私の子供が患者だったらこのまま死なせる」ときっぱり。
両親は、「せめて27歳の誕生日を迎えさせたい」と延命を望んだ。
横で、彼女はだまって、ふるえていた。
薬は効いて従兄弟は劇的に回復した。
彼女と温泉にいったり、近場に旅行いったり、
新薬は2人に時間をくれた。
「癌が治った」とはしゃいでいたけど、一時的だというのは
本人が何よりも知っていたと思う。
最後のときをすごす2人に、両親も親戚もなにもいわず見守った。
776 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:37:29
春、従兄弟が3度目の意識不明に陥った。
あまりの痛みに子供のように泣き叫ぶ従兄弟を、彼女と従兄弟の母親が
押さえつけ、抱きしめた。「ここにいるよ。ひとりじゃないよ」
彼女は、死の激痛にあえぐ従兄弟の顔にキスして、手足をさすった。
医師が死亡宣告し、遺体が自宅に搬送されるまで、
彼女は従兄弟を抱いた。
何かにとりつかれたように嗚咽する彼女をみて
「人を愛する」ってこういうことかと思った。
777 :恋人は名無しさん :2005/09/15(木) 00:40:02
彼女は、親戚の手前、通夜、葬式にも出られなかった。
毎年、従兄弟の墓参りには来ていた。
従兄弟が死んで数ヶ月あと、勤めていた会社をやめたことを聞いた。
数年たって、墓参りにもこなくなった。
最近、彼女が結婚し、1児の母になったことを聞いた。
寂しく思った反面、ほっとした。幸せになってほしいと思う。
posted at 2012/03/14 13:12:00
lastupdate at 2012/03/14 16:23:27
【修正】
2012/02/05
[泣ける話]
146 のぞみ 03/05/03 23:37
初めて彼と出会った時、私はまだ中学3年生だった。
中学時代の私は同じ年代によく居た「ヤンキー」の様なのとは違った意味でのヤンチャな女の子だった。
喧嘩じゃなくてカツアゲ、暴走族じゃなくてクラブ、シンナーじゃなくてマリファナ、毎晩オシャレな大学生と遊ぶ事ばかり考えて、街をフラフラしていた。
彼との出会いはナンパだった。
彼は18歳だった。私はいつもの様に、17歳だと嘘をついた。彼は当時でいうチーマーだった。ドイツ人とのハーフで、不思議な目の色をした彼に、私は一目で恋におちた。付き合う様になるのに時間はかからなかった。
1ヶ月ぐらいして「本当は中学生」と話したら、彼が「びっくりしたけど・・・ま、いっか。」と言って、二人の間に隠し事は無くなった。
彼のそれまでの人生は、聞くのも辛くなる様な経歴だった。
2歳で両親が離婚し、その時どちらにも「この子はいらない」と言われて、親戚に引き取られたが、凄まじい虐待をうけ・・・というような話だった。
そんな経歴のせいか、いつもいっぱいの友達に囲まれてるのに、どこか孤独というか、退廃的な雰囲気をもった人だった。彼や私の友達とワイワイやりながら、半年ほど楽しい日々は続いた。
ある夏の夜。その日は彼とは会わず、いつもの様に遊んで家ってくつろいでいた。夜中1時くらいに警察から電話が架かってきた。彼の事故を知らせる電話だったのだ。警察の話によると、彼は足を複雑骨折しているものの、意識ははっきりしている、あなたの連絡先しか言わないので電話した、とのことだった。
149 のぞみ 03/05/04 00:30
とりあえず、すぐ病院にいった。
まだ足の手術中でもうすこしかかるし、終わっても麻酔で明日の昼までは目が覚めないから、と、帰るように言われた。骨折だけと聞かされていたので、私はその指示にしたがって帰った。
次の日病院に行くと、彼はもう目を覚ましていて、私の姿を見て「おまえ、学校行けよ」と言った。私は泣き笑い。複雑骨折なので、リハビリも含めて1年間の入院生活が始まった。
最初の頃こそ、毎日の様に見舞いに来てくれていた友達も、だんだんと足が遠のき半年も経つと本当に誰も来なくなってしまった。
「みんな今まで俺の無茶な行動に無理やり付き合ってくれてたんや。とりあえず、今はおまえが居てくれたらもうええわ」彼はそう言った。
私も彼の遊びや行動に、度が過ぎるを通り越して、恐怖すら感じる時があったので、今回の事故がこの人にとって、いい薬になれば・・・と思っていた。
150 のぞみ 03/05/04 21:17
彼の入院も9ヶ月が過ぎたある日、いつもの様に学校をサボって彼の病室に行ったら、知らない女子高生がいた。
前の彼女だった。私と彼はその事で大喧嘩になった。
今思うとつまらない事だが、その時私はまだ14歳。彼が1年も入院する事、ましてや彼の身内は誰一人来ず、私一人でイライラする彼を励ましたり宥めたりする生活、普通の恋人同士の付き合いができない事に限界を感じていた。
14歳の私には、重すぎた。
結局、そのまま喧嘩別れになってしまった。
彼のその後が心配じゃないわけではなかったのだが、別れてから暫らく、お互いに連絡を取る事は無かった。高校受験もあって、私はとても忙しくなり、彼の友達だった人達とも、会う事は無かった。
151 のぞみ 03/05/04 21:52
別れて1年が経ったある日、突然彼から電話が架かってきた。
とても元気そうで安心しながら、近況を報告しあった。
「俺なー・・・、あーとりあえず、今から車で迎えに行くし、久しぶりに会おうや。」と彼が言った。彼が迎えにきて、私は車に乗った。彼は全く変わっておらず、私も高校生になっただけで、前と変わってなかった。
暫らく楽しい会話が続いていたのだが、突然彼が「おまえ、何か気付かん?」と言って、足をブラブラして見せた。
「俺の足、結局あかんかって、切断してん。これは義足。」
私と別れてから、リハビリも終わり、とりあえず無事退院したのだが、
1ヶ月程してまた折れてしまい、もう骨がくっつかなくなったらしい。
最初の骨折があまりにもめちゃくちゃだったので、結局うまくいかず、
もう切断するしかなかったらしい。そうやって、彼は片足を失くしていた。
私と彼はまた付き合い始めた。
152 のぞみ 03/05/04 23:14
しばらくは前の様な楽しい日々が続いたのだが、そのうち彼は喧嘩になると、私に暴力を振るう様になった。
今まであったものが突然なくなり、思う通りに体が動かなくなって自暴自棄になり、私がその捌け口になっていたのだ。
背も高く顔も美しかった彼は、事故に遭うまではモデルのバイトもするぐらいの人で、いわば、体がウリみたいなものだった。それが、片足を失くして一変したのだ。今までの様な遊びが出来なくなり、友達もどんどん離れていってしまった。女の子も、最初は近づいてきても、義足と聞くと引いていく。もちろんモデルのバイトもできるはずもない・・・・。
彼の自暴自棄は私への暴力とともにどんどんエスカレートしてき、しまいには本当に何もしなくなってしまった。
子供の時に彼を引き取った親戚がとても金持ちで、お金だけは援助してくれていたので、生活してはいけるけど、仕事もせず昼間から酒をのんでフラフラしている彼を見ていて、絶望的な気持ちだった。
153 のぞみ 03/05/04 23:58
ささいな事でいつもの様に喧嘩になったある日、私は彼に扇風機を投げつけられ、頭を2針縫う怪我をした。私はキレた。
「私はあんたの足が無くなったって聞いた時、ショックやった。だけど、足の一本ぐらいどうってことないって思った。あんたに同情なんかしてなかった。私は、絶対に私があんたを自分の力で立ち直らせてやるって、そのぐらいの根性で付き合ってたつもりやった。でもあんたは私に甘えるばっかりやん。いつまでそうしてるつもり?なんとかなったらどうなん?もう限界や。」
私は今まで言えなかった事を、全部ぶちまけた。また殴られると思ったが、彼は静かに言った。
「俺と結婚してくれ。俺は切羽詰らんと何にもできひん。守るものができたら俺は変われると思う。一生ずっと俺を見ててくれ。おまえを愛してるから結婚して下さい」
私が17歳で彼が21歳の時の事だった。
私は学校を辞め、親の猛反対を押し切って彼と結婚した。
幸いにも彼の仕事がすんなり決まり、私もバイトをしながら、嘘みたいにおだやかな日々を送っていた。
1年後には子供も産まれ、3人幸せな生活が続いていた。
155 のぞみ 03/05/05 21:58
ある日、いつもの様に晩ご飯を食べていたら、彼が突然「おまえ、来週、誕生日やろー」と、らしくない事を言い出した。
今まで彼の方から誕生日や記念日の話なんか出してきた事が無かったので、びっくりした。私は「どうしたん?今までそんなん言うた事ないくせにー。気持ち悪いわー。」と、笑いながら返した。
「いやー・・・。別に何にも無いけど、ただ言うてみただけ。」と彼も笑っていた。その日、彼はご飯を食べ終えると「疲れたし寝るわ。おやすみ」と言って、私と娘に、いつものおやすみのキスをして、寝室に入って行った。
私もその日は仕事で疲れていて、娘と一緒に、居間でざこ寝みたいにして朝まで熟睡してしまった。朝、目が覚めて、朝ごはんを作りながら娘に「パパ起こしてきて」と頼んだ。
毎朝彼を起こすのが4歳になった娘の日課で、その日も彼女は寝室へ走って行った。しばらくして、「パパー!パパー!」という娘の叫び声。「昨日あんなに早く寝たのに、まだ起きひんのかな」と思いながら寝室に行くと、娘が彼の上に乗って叫んでいた。
「パパが起きひん。冷たい。」
びっくりして彼に触れた。素人でも、分かる様な体温。
パニックになった。とにかく彼を起こそうと、狂った様に叫びながら体を揺さぶった事だけは、今でもはっきり覚えている。
156 のぞみ 03/05/05 23:38
彼はそのまま永遠に目を覚ますことは無かった。
おやすみのキスが最後だった。
あっけなかった。
あっけなすぎて涙も出なかった。私は放心状態で、周りが葬式の準備などに、忙しくバタバタするを、ただボーっと見ていた。
6年前の事故の後遺症による死、と医者に聞かされた。
たまに何年も経ってから亡くなる人がいるらしい。頭が痛いと言ってなかったか、あくびが増えたりしてなかったか、大きなイビキを掻いてなかったか・・・・医者に色んなことを聞かれたが、私は何を言われてもボーっとしながら「はい」としか答えなかった。
娘は、人の死が分かるのか分からないのか、
「パパ、ずっと寝てる」と、私に何度も繰り返し教えるように言った。
お通夜とお葬式には、彼を引き取った親戚のおじさんが一人で来た。彼の身内はその人だけしか来なかった。おじさんは、昔彼にした仕打ちを悔やんでいるのか、彼の体を揺すって、「すまんかった」と泣きながら謝っていた。私はまだ泣く事が出来なかった。
157 のぞみ 03/05/06 00:07
お葬式の次の日。
私の代わりに部屋を元通りに片付けてくれていた友達が、泣きながら
「これ、電気スタンドの下から出てきた。何かわからんかったから、中身勝手に見た。ごめん。」と言って、小さな紙袋を差し出した。
写真と指輪とメモのような手紙が入っていた。
写真には、いつ写したのか私の寝顔、裏に、日付と小さく「マヌケ」と書かれていた。メモには
「この指輪は誕生日プレゼントではありません。
かなり遅れたけど結婚指輪です。誕生日プレゼントには3人で旅行でも
行こうや。ほんじゃおやすみ。誕生日おめでとう」。
私は声を上げて泣いた。彼が死んで、初めて流す涙だった。
169 のぞみ 03/05/10 00:19
長々と書き連ねてしまい、すみませんでした。
ご心配下さり、ありがとうございます。
今は私も娘も何とか元気にくらしてます。
4歳だった娘も8歳になりました。あれから私は暫らく罪の意識に苛まれ、自分を責める日々を過ごしてきました。
なんであの日に限って一緒に寝なかったんやろう、なんで気が付かんかったんやろうって、そんな事ばかり考えて・・・。その度に子供の顔を見て、この子は私が居ないと生きていけないんや、早く強くならないと、今すぐ強くならないとって、無理やり自分を奮い立たす毎日でした。
周りの人は「若いのに一人で子供抱えて大変やね」とか
中には「子供おらん方がよかったのに。子供いたら再婚もできひんやん」って言う人もいます。どちらも心配してくれてるのは分かるんですが、私は、当たり前の事ですがそうは思いません。
家出同然で出てきたので、私達には帰る場所もない。
私達自信が2人で強く生きて行くしかない。残された指輪と義足に誓って、娘をしっかり育てます。がんばらなあかんって思ってます。
初めて彼と出会った時、私はまだ中学3年生だった。
中学時代の私は同じ年代によく居た「ヤンキー」の様なのとは違った意味でのヤンチャな女の子だった。
喧嘩じゃなくてカツアゲ、暴走族じゃなくてクラブ、シンナーじゃなくてマリファナ、毎晩オシャレな大学生と遊ぶ事ばかり考えて、街をフラフラしていた。
彼との出会いはナンパだった。
彼は18歳だった。私はいつもの様に、17歳だと嘘をついた。彼は当時でいうチーマーだった。ドイツ人とのハーフで、不思議な目の色をした彼に、私は一目で恋におちた。付き合う様になるのに時間はかからなかった。
1ヶ月ぐらいして「本当は中学生」と話したら、彼が「びっくりしたけど・・・ま、いっか。」と言って、二人の間に隠し事は無くなった。
彼のそれまでの人生は、聞くのも辛くなる様な経歴だった。
2歳で両親が離婚し、その時どちらにも「この子はいらない」と言われて、親戚に引き取られたが、凄まじい虐待をうけ・・・というような話だった。
そんな経歴のせいか、いつもいっぱいの友達に囲まれてるのに、どこか孤独というか、退廃的な雰囲気をもった人だった。彼や私の友達とワイワイやりながら、半年ほど楽しい日々は続いた。
ある夏の夜。その日は彼とは会わず、いつもの様に遊んで家ってくつろいでいた。夜中1時くらいに警察から電話が架かってきた。彼の事故を知らせる電話だったのだ。警察の話によると、彼は足を複雑骨折しているものの、意識ははっきりしている、あなたの連絡先しか言わないので電話した、とのことだった。
149 のぞみ 03/05/04 00:30
とりあえず、すぐ病院にいった。
まだ足の手術中でもうすこしかかるし、終わっても麻酔で明日の昼までは目が覚めないから、と、帰るように言われた。骨折だけと聞かされていたので、私はその指示にしたがって帰った。
次の日病院に行くと、彼はもう目を覚ましていて、私の姿を見て「おまえ、学校行けよ」と言った。私は泣き笑い。複雑骨折なので、リハビリも含めて1年間の入院生活が始まった。
最初の頃こそ、毎日の様に見舞いに来てくれていた友達も、だんだんと足が遠のき半年も経つと本当に誰も来なくなってしまった。
「みんな今まで俺の無茶な行動に無理やり付き合ってくれてたんや。とりあえず、今はおまえが居てくれたらもうええわ」彼はそう言った。
私も彼の遊びや行動に、度が過ぎるを通り越して、恐怖すら感じる時があったので、今回の事故がこの人にとって、いい薬になれば・・・と思っていた。
150 のぞみ 03/05/04 21:17
彼の入院も9ヶ月が過ぎたある日、いつもの様に学校をサボって彼の病室に行ったら、知らない女子高生がいた。
前の彼女だった。私と彼はその事で大喧嘩になった。
今思うとつまらない事だが、その時私はまだ14歳。彼が1年も入院する事、ましてや彼の身内は誰一人来ず、私一人でイライラする彼を励ましたり宥めたりする生活、普通の恋人同士の付き合いができない事に限界を感じていた。
14歳の私には、重すぎた。
結局、そのまま喧嘩別れになってしまった。
彼のその後が心配じゃないわけではなかったのだが、別れてから暫らく、お互いに連絡を取る事は無かった。高校受験もあって、私はとても忙しくなり、彼の友達だった人達とも、会う事は無かった。
151 のぞみ 03/05/04 21:52
別れて1年が経ったある日、突然彼から電話が架かってきた。
とても元気そうで安心しながら、近況を報告しあった。
「俺なー・・・、あーとりあえず、今から車で迎えに行くし、久しぶりに会おうや。」と彼が言った。彼が迎えにきて、私は車に乗った。彼は全く変わっておらず、私も高校生になっただけで、前と変わってなかった。
暫らく楽しい会話が続いていたのだが、突然彼が「おまえ、何か気付かん?」と言って、足をブラブラして見せた。
「俺の足、結局あかんかって、切断してん。これは義足。」
私と別れてから、リハビリも終わり、とりあえず無事退院したのだが、
1ヶ月程してまた折れてしまい、もう骨がくっつかなくなったらしい。
最初の骨折があまりにもめちゃくちゃだったので、結局うまくいかず、
もう切断するしかなかったらしい。そうやって、彼は片足を失くしていた。
私と彼はまた付き合い始めた。
152 のぞみ 03/05/04 23:14
しばらくは前の様な楽しい日々が続いたのだが、そのうち彼は喧嘩になると、私に暴力を振るう様になった。
今まであったものが突然なくなり、思う通りに体が動かなくなって自暴自棄になり、私がその捌け口になっていたのだ。
背も高く顔も美しかった彼は、事故に遭うまではモデルのバイトもするぐらいの人で、いわば、体がウリみたいなものだった。それが、片足を失くして一変したのだ。今までの様な遊びが出来なくなり、友達もどんどん離れていってしまった。女の子も、最初は近づいてきても、義足と聞くと引いていく。もちろんモデルのバイトもできるはずもない・・・・。
彼の自暴自棄は私への暴力とともにどんどんエスカレートしてき、しまいには本当に何もしなくなってしまった。
子供の時に彼を引き取った親戚がとても金持ちで、お金だけは援助してくれていたので、生活してはいけるけど、仕事もせず昼間から酒をのんでフラフラしている彼を見ていて、絶望的な気持ちだった。
153 のぞみ 03/05/04 23:58
ささいな事でいつもの様に喧嘩になったある日、私は彼に扇風機を投げつけられ、頭を2針縫う怪我をした。私はキレた。
「私はあんたの足が無くなったって聞いた時、ショックやった。だけど、足の一本ぐらいどうってことないって思った。あんたに同情なんかしてなかった。私は、絶対に私があんたを自分の力で立ち直らせてやるって、そのぐらいの根性で付き合ってたつもりやった。でもあんたは私に甘えるばっかりやん。いつまでそうしてるつもり?なんとかなったらどうなん?もう限界や。」
私は今まで言えなかった事を、全部ぶちまけた。また殴られると思ったが、彼は静かに言った。
「俺と結婚してくれ。俺は切羽詰らんと何にもできひん。守るものができたら俺は変われると思う。一生ずっと俺を見ててくれ。おまえを愛してるから結婚して下さい」
私が17歳で彼が21歳の時の事だった。
私は学校を辞め、親の猛反対を押し切って彼と結婚した。
幸いにも彼の仕事がすんなり決まり、私もバイトをしながら、嘘みたいにおだやかな日々を送っていた。
1年後には子供も産まれ、3人幸せな生活が続いていた。
155 のぞみ 03/05/05 21:58
ある日、いつもの様に晩ご飯を食べていたら、彼が突然「おまえ、来週、誕生日やろー」と、らしくない事を言い出した。
今まで彼の方から誕生日や記念日の話なんか出してきた事が無かったので、びっくりした。私は「どうしたん?今までそんなん言うた事ないくせにー。気持ち悪いわー。」と、笑いながら返した。
「いやー・・・。別に何にも無いけど、ただ言うてみただけ。」と彼も笑っていた。その日、彼はご飯を食べ終えると「疲れたし寝るわ。おやすみ」と言って、私と娘に、いつものおやすみのキスをして、寝室に入って行った。
私もその日は仕事で疲れていて、娘と一緒に、居間でざこ寝みたいにして朝まで熟睡してしまった。朝、目が覚めて、朝ごはんを作りながら娘に「パパ起こしてきて」と頼んだ。
毎朝彼を起こすのが4歳になった娘の日課で、その日も彼女は寝室へ走って行った。しばらくして、「パパー!パパー!」という娘の叫び声。「昨日あんなに早く寝たのに、まだ起きひんのかな」と思いながら寝室に行くと、娘が彼の上に乗って叫んでいた。
「パパが起きひん。冷たい。」
びっくりして彼に触れた。素人でも、分かる様な体温。
パニックになった。とにかく彼を起こそうと、狂った様に叫びながら体を揺さぶった事だけは、今でもはっきり覚えている。
156 のぞみ 03/05/05 23:38
彼はそのまま永遠に目を覚ますことは無かった。
おやすみのキスが最後だった。
あっけなかった。
あっけなすぎて涙も出なかった。私は放心状態で、周りが葬式の準備などに、忙しくバタバタするを、ただボーっと見ていた。
6年前の事故の後遺症による死、と医者に聞かされた。
たまに何年も経ってから亡くなる人がいるらしい。頭が痛いと言ってなかったか、あくびが増えたりしてなかったか、大きなイビキを掻いてなかったか・・・・医者に色んなことを聞かれたが、私は何を言われてもボーっとしながら「はい」としか答えなかった。
娘は、人の死が分かるのか分からないのか、
「パパ、ずっと寝てる」と、私に何度も繰り返し教えるように言った。
お通夜とお葬式には、彼を引き取った親戚のおじさんが一人で来た。彼の身内はその人だけしか来なかった。おじさんは、昔彼にした仕打ちを悔やんでいるのか、彼の体を揺すって、「すまんかった」と泣きながら謝っていた。私はまだ泣く事が出来なかった。
157 のぞみ 03/05/06 00:07
お葬式の次の日。
私の代わりに部屋を元通りに片付けてくれていた友達が、泣きながら
「これ、電気スタンドの下から出てきた。何かわからんかったから、中身勝手に見た。ごめん。」と言って、小さな紙袋を差し出した。
写真と指輪とメモのような手紙が入っていた。
写真には、いつ写したのか私の寝顔、裏に、日付と小さく「マヌケ」と書かれていた。メモには
「この指輪は誕生日プレゼントではありません。
かなり遅れたけど結婚指輪です。誕生日プレゼントには3人で旅行でも
行こうや。ほんじゃおやすみ。誕生日おめでとう」。
私は声を上げて泣いた。彼が死んで、初めて流す涙だった。
169 のぞみ 03/05/10 00:19
長々と書き連ねてしまい、すみませんでした。
ご心配下さり、ありがとうございます。
今は私も娘も何とか元気にくらしてます。
4歳だった娘も8歳になりました。あれから私は暫らく罪の意識に苛まれ、自分を責める日々を過ごしてきました。
なんであの日に限って一緒に寝なかったんやろう、なんで気が付かんかったんやろうって、そんな事ばかり考えて・・・。その度に子供の顔を見て、この子は私が居ないと生きていけないんや、早く強くならないと、今すぐ強くならないとって、無理やり自分を奮い立たす毎日でした。
周りの人は「若いのに一人で子供抱えて大変やね」とか
中には「子供おらん方がよかったのに。子供いたら再婚もできひんやん」って言う人もいます。どちらも心配してくれてるのは分かるんですが、私は、当たり前の事ですがそうは思いません。
家出同然で出てきたので、私達には帰る場所もない。
私達自信が2人で強く生きて行くしかない。残された指輪と義足に誓って、娘をしっかり育てます。がんばらなあかんって思ってます。
posted at 2012/03/14 22:54:22
lastupdate at 2012/03/14 22:54:22
【修正】
2012/02/02
[泣ける話]
そろそろお婆ちゃんが他界しそうです。
年内中だそうです。この前お見舞いに行きました。
イマイチ、実感が沸かなかった。
もうすぐお別れなんて考えられなかった。
弱々しく、病院のベッドで寝ているおばあちゃん
私の目の前に、今いるのに、もうすぐお別れなんて分からなかった。
喋るのも辛そうなおばあちゃんは、小さな目で私をじっと見ていた
心無しか目が潤んでるように見えた。
手を握ってみた。もの凄くガリガリでしわしわ。
握っても、握り返すことは出来ないらしい。
でも妙に暖かかった。お婆ちゃんの体温を感じて私も目が潤んだ。
その時、初めて実感できた。
この暖かい手に触れる事が出来なくなる悲しみ。もう笑顔も見られない。
死なないで欲しい。ずっと生きててほしい。
帰ろうとすると、入れ歯がない口でゆっくりと「いやだ」と言っていた
「これが最後になるかもしれないのに」とも。
おばあちゃんは手を離さないようにしていた。でも弱々しすぎてすぐに振りほどける。
出来ることなら、ずっと握っててあげたかった。
夜中、病院で1人死を待つおばあちゃんの傍にいてあげたかった。
涙をこらえて、「またね」と言った。
今回が多分、私にとって初めて人の死を悲しむ瞬間になるだろう。
夜の電話には怯え続けてる。ずっと一緒に居て欲しかった。
せめて、ずっとお婆ちゃんの手を握っていたい。そう思う。
posted at 2012/03/14 18:26:46
lastupdate at 2012/03/14 18:26:46
【修正】